非穿通性外傷による僧帽弁腱索断裂の超音波所見

Ultrasonic features of ruptured chordae tendineae caused by non-penetrating injury of the heart

　僧帽弁閉鎖不全症の原因としてリウマチ熱，乳頭筋機能不全^1）2），僧帽弁逸脱^3），腱索断裂^4）などが知られている。それらのなかで予後および外科的治療の点から考えて，腱索断裂による僧帽弁閉鎖不全症を的確に診断することは臨床的にきわめて重要な点であるといえる。腱索断裂の病因^5）〜12）に関しては，リウマチ熱，細菌性心内膜炎，外傷などがあるが，リウマチ熱，細菌性心内膜炎によるものでは僧帽弁自体の変化が強いため，心エコー図にその基礎疾患の所見が前面に表われる可能性がある。その点，外傷による腱索断裂では弁自体の変化がきわめて少ないため，腱索断裂本来の心エコー図所見が得られるものと考えられる。今回われわれは非穿通性外傷による僧帽弁腱索断裂の心エコー図，超高速心臓断層図について特徴ある所見を得たので報告する。

The ultrasonic features from 5 cases with ruptured chordae tendineae caused by non-penetrating injury of the heart were reported. Four had ruptured chordae tendineae from the posterior mitral valve leaflet and one that from the anterior mitral valve leaflet.