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講座
自然気胸患者における急速肺膨脹による肺水腫について—文献的考察とその成因に関する一考察
Re-expansion pulmonary edema after drainage of spontaneous pneumothorax.--A review of the literature and a clinical study on pulmonary blood flow of re-expanded lung by perfusion scans
山崎 史朗
1
,
小川 純一
1
,
小出 司郎策
1
,
川田 志明
1
,
正津 晃
1
,
鈴木 豊
2
Shiro Yamazaki
1
,
Jun-ichi Ogawa
1
,
Shirosaku Koide
1
,
Shiaki Kawada
1
,
Akira Shotsu
1
,
Yutaka Suzuki
2
1東海大学第1外科
2東海大学放射線科
11st Dept. of Surgery, Tokai Univ.
2Dept. of Radiology, Tokai Univ.
pp.421-427
発行日 1978年5月15日
Published Date 1978/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203190
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長期間虚脱していた肺を急速に膨脹させると,その再膨脹した肺に限局して肺水腫が発生するという事実はかなり古くから知られている。初期の報告例は,大量の胸水を急速に排除した直後に肺水腫の発生をみたもので,1906年Hartleyが35例という多数例を発表している17)。近年,自然気胸に対してchest tubeによるdrainageが積極的に行われるようになってきたために,胸腔内の空気が急速に脱気されて膨脹した直後の肺に同様の肺水腫が発生したという報告が散見されるようになった。このいわゆるrapid re-expansion pulmonary edemaは,自然気胸の症例に限ると,今日までに欧米で14例1〜6,8,10〜13),本邦で4例報告7,9,13)されている。その成因に関してはいまだ定説がない。これは非常に稀な合併症ではあるが,われわれが日常の臨床にたずさわるにあたって,自然気胸の患者をdrainageによる脱気療法で治療する際,また大量の胸水を一時に急速に排除する際にこの合併症が発生する危険を常に念頭におく必要があろう。
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