Japanese
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特集 心房中隔欠損症(ASD)
心内膜床欠損症
Endocardial cushion defect
浅野 献一
1
Kenichi Asano
1
1東京医科歯科大学医学部第2外科
12nd Dept. of Surgery, Tokyo Medical and Dental University
pp.345-351
発行日 1978年4月15日
Published Date 1978/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203183
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発生と病態生理
胎生期に心臓は二腔心(一心房一心室)でその間に総房室口があり,その発育中,心房からおよび心尖部からそれぞれ中隔が発生延長して左右の腔が分けられ,更に総房室口に心内膜床が発育して総房室口は左右に分離されて僧帽弁,三尖弁が形成される。この部分の形成障害のため心房中隔,心室中隔,前後の心内膜床に異常が生ずる。図11)はこの部の発育と異常を心房側からみたものである。理論的には14種の心奇形が考えうるとされるが2),実際には心房中隔欠損(一次口欠損)と僧帽弁前尖裂隙を合併する部分型と,一次口欠損,心室中隔欠損,僧帽弁三尖弁異常を凡て合併する完全型がほとんどすべてを占める。頭書のように心内膜床欠損症(endo-cardial cushion defect-ECD)という名称が広く用いられているが,本症を形成するものが心内膜床だけでなく,中隔の形成も関与するところから総房室口遺残症(common atrioventricular canal-AVC)と呼ぶ方がより適切であるという考え方2)も多い。
部分型では一次口欠損と僧帽弁前尖裂隙が主な変化であるが三尖弁中隔尖も発育障害が強く,欠如することも稀でない。
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