Japanese
English
綜説
先天性心疾患・III—心内膜床欠損症
Congenital Heart Disease・III:Endocardial Cushion Defect.
服部 淳
1
,
岩淵 汲
2
,
金井 美津
2
,
高尾 篤良
2
,
山口 繁
2
Jun Hattori
1
,
K. Iwabuchi
2
1東京女子医大
2東京女子医大外科,心臓血圧研究所
1Tokyo Women's Medical College.
2Dept. of Surg. & Heart Institute, Tokyo Women's Medical College.
pp.332-341
発行日 1960年5月15日
Published Date 1960/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200886
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心臓の中隔欠損のうち,所謂心室中隔単純欠損Isolated Ventricular Septal Defect及び心房中隔単純欠損Isolated Atrial Septal Defectはその適応範囲を誤らねば現在の手術治療により可成り安全に治療し得る事は既に述べた通りである。然しこれらに肺動脈狭窄,大動脈弁閉鎖不全その他の何らかの合併畸型が加わる事は当然手術の複雑化を招き,場合によつては危険率も増す結果となる。中隔欠損自体にしても単純な型でない場合も同様の事が言える。心内膜床欠損症Endocardial Cushion Defectは後者にあたる。即ち軽度のものでは心房中隔の下部欠損として一次口開存のみであるが,複雑になるに従いこれに僧帽弁,三尖弁の異常,心室中隔欠損が連つて所謂共通房室弁孔残遺の状態を呈する。従つてこれらの呈する臨床像は心房中隔欠損,僧帽弁閉鎖不全,心室中隔欠損,或いは他の先天性心畸型を思わせる等様々であるため,本症の診断には充分の注意が必要である。
本症は従来比較的稀な疾患とされて来たが最近2・3歳以下の心疾患患児を診る機会が多くなるにつけ,本症を疑わせる例も増えて居り,手術,剖検によつて確認された例も13例に達したので,これらを中心に本症の臨床的特徴について述べてみたいと思う。
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