講座
cardiogenic oscillation
福地 義之助
1
,
三並 春夫
1
,
矢野 清隆
1
,
原沢 道美
1
Yoshinosuke Fukuchi
1
,
Haruo Minami
1
,
Kiyotaka Yano
1
,
Michiyoshi Harasawa
1
1東京大学老年病学教室
1Dept. of Geriatrics, Univ. of Tokyo
pp.221-228
発行日 1978年3月15日
Published Date 1978/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203168
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肺と心臓は比較的強固な胸壁に囲まれた胸腔という密閉容器の中に隣接して存在する。しかも両者は肺血管系で結ばれ,心臓に出入りする体血管は肺と容易に接触して位置する。このような解剖学的局在の下では,常に収縮と拡張をくり返して機械的運動を続ける心臓が肺の動態に大きく影響を及ぼすことは当然予期されるところであろう。開胸して観察すれば一見して明らかな通り,肺は心臓の拍動に同期して揺すぶられている。肺は心臓と異り外界に開いている器官なので,これに対応して,気道内圧,気流速度,気道内ガス濃度などの周期性変動を生じる。一般にこのような心拍動に起因する律動性変動をcardiogenic oscillation (以下C.O.)と呼ぶが,これには心臓と肺の両者の機能に関連する情報が含まれている。即ち肺を一様な弾性体と仮定すれば,C.O.はpowergeneratorとしての心臓の機能を反映する指標の1つであるし,逆に心拍運動を一定のものと考える立場にたてば,C.O.には肺が心臓から加えられた直接的あるいは間接的な衝撃に対して示す反応が表現されているともいえるのである。
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