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講座
発作性"上室"性頻拍の成立機序(II)
Mechanisms of paroxysmal supraventricular tachycardia (II)
比江嶋 一昌
1
,
佐竹 修太郎
1
Kazumasa Hiejima
1
,
Shutaro Satake
1
1東京医科歯科大学第1内科
11st Dept. of Int. Med., Tokyo Medical and Dental Univ.
pp.123-134
発行日 1977年2月15日
Published Date 1977/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203011
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3.WPW症候群に伴うもの
不応期と伝導速度が異なる房室結節—His束系とバイパス路(Kent束)とにより,頻拍発生の舞台が構成されることは,今まで述べて来た理由から理解されるところである。多くの例では,バイパス路は伝導速度がはやく不応期が長い(したがって,図1のβ路に相当する)ので,頻拍発生のさいのインパルスは,房室結節—His束を経て心室へ至り,バイパス路により心房へ逆伝導する(バイパス路の一方向性ブロック)。したがって,Δ波は消失し,正常なQRS (もともと脚ブロックがなければ)を示す頻拍がみられる(図7A)。稀に,インパルスがバイパスを経て心室へ達し,房室結節—His束系を逆伝導し,心房へ伝わることがある。この場合は,QRSは洞調律時の形に類似し,Δ波が存在する(図7B)。
図7は同一患者にみられた2方向性の頻拍を示す。図7Aの左半は洞調律で,Δ波が明らかである。心房性期外収縮から毎分187の頻拍を生じているが,QRSは正常形で,したがって,房室結節—His束系から,バイパス路を経るreentryといえる。図7Bは,その逆方向のreentryを示し,Δ波が存在し,心拍数は毎分200で7Aよりもはやい。
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