特集 末梢気道の病変
細気管支炎,特に慢性型を中心として—びまん性汎細気管支炎(びまん性呼吸細気管支炎)の臨床
本間 日臣
1
,
滝沢 敬夫
1順天堂大学呼吸器内科
pp.37-46
発行日 1977年1月15日
Published Date 1977/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203001
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本特集のテーマは,「末梢気道の病変」ということであり,従来silent zoneとして注目され呼吸と循環誌上でも幾度かその問題点が論ぜられてきた。筆者の与えられた分担課題は,慢性型細気管支炎の臨床である。ここで読者におことわりしておかなければならないことは,これから述べようとする細気管支炎は,筆者らがここ数年来症例を蓄積しつつあり,びまん性汎細気管支炎と呼んでいる疾患で,細気管支とはいっても気道系の細気管支ではない。実質系に属する呼吸細気管支に慢性炎症の主座をおく疾患である。したがって末梢気道の病変のカテゴリーに入れるのには問題があり,それに由来する混乱を避けるためびまん性呼吸細気管支炎と括弧の中につけ加えたのである。本来ならば気道系の細気管支炎について述べるべきなのであろうが筆者には,症例の経験がない。また本症は呼吸細気管支炎に最初の病変の主座をおくとはいえ,長年の経過の間に終末細気管支から気道系細気管支へかけての炎症の波及や呼吸細気管支の瘢痕性狭窄による末梢気道部の細気管支拡張を招来し,蜂巣状を呈してくるので,あえて臨床の部で取り上げていただいた。丁度alveolitisが胞隔に初発しながら次第に中間領域から末梢気道へ線維化,瘢痕化をひろめていくのと類似している。
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