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びまん性汎細気管支炎の独立性をめぐって
泉 孝英
1
,
西村 浩一
1
,
北市 正則
1
1京都大学結核胸部疾患研究所・内科第2
pp.1864-1873
発行日 1985年10月10日
Published Date 1985/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219984
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びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis,DPB)は,最近10年ばかりの問にわが国の呼吸器科領域において広く用いられるようになった病名である1,2).本症は,"咳,痰,労作時息切れがあり,胸部X線上,粒状影と過膨張所見が認められる予後不良の疾患"であるが,DPBを独立した疾患"an independent clinical and pathological entity"であると考えるか否かについては議論の多いところである.わが国で,1つの疾患としてのDPBに議論の決着がついていないことの理由の1つに,欧米の成書,報告には本症に該当する疾患の記載がないことが挙げられる.
ここでは,まずDPBの歴史,概念と今日わが国で指摘されている問題点について紹介し,次いでDPBと関連が深いと思われる呼吸器疾患の欧米における見解の現状と,欧米におけるDPB該当疾患の有無について,欧米の呼吸器科医を対象として実施した調査成績の概要について紹介する.そして最後に,このDPBなる疾患を世界の呼吸器病学のなかに位置付けるためにはどのような努力を払うべきかについての私見を記すこととしたい.
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