呼と循ゼミナール
感染性細気管支炎をめぐって—びまん性汎細気管支炎およびSmall airway disease
原沢 道美
1
1東京大学医学部老年病学教室
pp.408
発行日 1974年5月15日
Published Date 1974/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202627
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肺機能上明らかに閉塞性換気障害の像を呈し,しかも臨床的にもまた病理学的にも慢性閉塞性肺疾患とは明らかに異なる,びまん性汎細気管支炎という新しい疾患概念が,1970年中山,谷本,本間らにより提唱された。一方,慢性閉塞性肺疾患の初期変化として細気管支の閉塞性病変が重視され,しかもそれが全体としての気道系の抵抗増加という形をとり難いことが明らかにされるにつれて,病態を容易に表わさない故にサイレント・ゾーンと呼ばれる細気管支の病変を,いかにして早く検出したらよいかということが,呼吸生理学者の一つの焦点となってきている。このような背景も加わり,細気管支炎についての関心も大いに高まってきたが,それに多少の混乱がみられるので,以下感染性と思われるそのいくつかを紹介してみたい。
びまん性汎細気管支炎というのは,簡単にいえば慢性細気管支炎がびまん性に分布しているもので,その病変の強い場合には,細気管支周囲の細胞に炎症反応が波及し,細気管支周囲炎を合併するので,汎細気管支炎の名前が用いられている。本症の基本的な病変は,終末細気管支から呼吸気管支にかけて,リンパ滬胞の形成,リンパ球,形質細胞など小円形細胞の浸潤を伴った壁の著明な肥厚,細気管支腔の狭窄である。本症の発症は10歳代からみられ,男性に多い。軽度のせき,時に呼吸困難を初発症伏とし,やがて消長を示すが,労作時息切れが現れ,喘鳴を伴うことが多い。
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