呼と循ゼミナール
心房刺激と房室伝導における"accommodation"
中田 八洲郎
1
1順天堂大学医学部内科循環器
pp.848
発行日 1976年10月15日
Published Date 1976/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202959
- 有料閲覧
- 文献概要
房室結節の機能を評価する目的で,心房刺激を行いつつヒス束電位を記録する方法が広く行われている。本法は洞調律の心拍より速いレートで心房刺激を開始し段階的に刺激頻度を上げていくことによりA-H時間は延長し,ついにはA-H間における第2度のブロック(通常はWenckebach型)がみられ,この第2度ブロック発現時の心房刺激のレートで房室結節の機能を評価しようとするものである。さらには,この方法によりA-Hの延長がわずかであるか,あるいはほとんど認められない場合には房室結節が正常より小さいとか,房室結節をバイパスする副伝導路の存在を示唆する所見とされている。このA-H延長は第2度ブロック発現までは一定の刺激頻度では一定の値を示すが,時には一定の心拍数にもかかわらず刺激頻度の変更直後には変動を示すことがある。図にその1例を示す。この例では142/分の頻度で心房刺激を行ったところ刺激間隔は一定であるにもかかわらず,A-H時間は110, 150, 160, 160, 195, 180, 250, 230msecと変動を示している。このようなA-Hの変動は,特に急激に刺激頻度を上げた場合に著しい。
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.