講座 不整脈の心電図・2
房室伝導障害
五十嵐 正男
1
1聖ルカ国際病院内科
pp.243-247
発行日 1968年2月10日
Published Date 1968/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202108
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房室伝導障害—私どもは簡単にA-Vブロックと言つていますが—は心房から心室への伝導に異常のあることを意味しますが,実際上は刺激が洞結節を出て心房に入つてから心室のパーキンジェ線維末梢に達するまでの伝導経過に異常のある状態を言います。心電図ではP波の始まる少し前からQRSの始まりまで,つまりP-R時間がこの伝導の時期に相当しますので,A-Vブロックはここの異常として現われてきます。障害が軽い時には伝導に時間がかかるだけですが,高度になると刺激伝導がそこで止まつてしまい,それより下方には伝わらなくなります。病変は多くは房室結節かHis束にありますが,時には心房内部に伝導異常があつたり,両側の田原脚が同時に侵されたために,障害が出てくることもあります。
房室伝導障害は多く.の原因でおきてきます。リウマチ熱やジフテリヤなどの急性感染症,急性冠不全や急性心筋硬塞症が刺激伝導系の一部を侵したとき(ことに後壁心筋硬塞),ジギタリス過剰,サルコイドージスをはじめとする各種の腫瘍・新生物が心室中隔まで及んだ時,心筋変性が心室中隔を侵した時などにおきてきます。
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