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講座
低FRCの呼吸機能
Gas Exchange and FRC
山林 一
1
Hajime Yamabayashi
1
1東海大学医学部内科
1Dept. of Int. Med., Tokai Univ
pp.667-671
発行日 1976年8月15日
Published Date 1976/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202934
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Humphrey Davy1)が1800年にH2を用いてはじめて機能的残気量(FRC)を測定して以来すでに13/4世紀を経過した今日まで,FRCという指標ほど実際に測定されながら,現実には生理的にも臨床的にも無視されてきたものはない。事実われわれが呼吸機能検査成績の評価を行うとき,おそらく多くの人はFRCの値には目もくれず,肺活量,一秒率,残気量,血液ガス組成などの測定値に注意力を集中して来たし,また現在もそうである。ときにFRCについて論議されることはあっても,それはたいていFRCが増加するときの生理的臨床的得失の話であって,FRCが低下する,つまり低FRCの呼吸機能に及ぼす影響については,ごく最近まで問題とされなかった。
近年末梢気道の病変の早期検出法として,closing volumeの測定が提唱されるにつれて,これに関連してFRC,とくに低FRCのガス交換に及ぼす影響が急に注目されるようになってきた。たしかに臨床的に低FRCを来す状態は,内科呼吸器病の領域のみでなく,外科,麻酔科,小児科,救急医療の分野においても非常に高頻度に観察され,しかも重篤な症候を呈し,intensive careを必要とする場合が多い。
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