呼と循ゼミナール
心臓性ショック(I)—心臓周辺の低圧系伸展受容器反射の関与(その1)
井島 宏
1
,
堀 原一
1
1筑波大学臨床医学系外科
pp.572
発行日 1976年7月15日
Published Date 1976/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202919
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出血性ショックでは,循環血液量の減少による全循環系の圧下降のための,主として,頸動脈や大動脈の高圧系圧受容器反射の結果,交感神経系血管収縮線維の興奮による末梢血管抵抗の増大を認めるが,心臓性ショックでは,主として心臓のポンプ機能の障害による高圧系の低血圧と,低圧系の血圧上昇をきたす。ここでは,低圧系伸展受容器反射が,心臓性ショックに関与するメカニズムを解説してみたい。
Nonidez1)などの解剖学的研究によって,最初は上・下静脈およびそれらと右心房との接合部,肺動脈と左心房との接合部の内膜下層にCUE (complex unencapsulated nerve ending)と称される神経終末が発見され,その後,心房・心室壁全体に,形態学的にはCUEとは異なる網状神経終末が発見された2)。それらの神経終末は,伸展や圧迫によって刺激され,インパルスを発生することから,高圧系における圧受容器と同様の機能を有することが実験的に確認された。これらが,ふつう伸展受容器stretch receptorと呼ばれるもので,求心路は迷走神経と考えられている。
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