Japanese
English
綜説
機能性狭心症
Angina pectoris due to functional cause
下村 克朗
1
,
村尾 覚
1
Katsuro Shimomura
1
,
Satoru Murao
1
1東京大学医学部第2内科
12nd Dept. of Int. Med., Faculty of Med., Univ. of Tokyo
pp.764-772
発行日 1975年9月15日
Published Date 1975/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202808
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狭心症は心筋の酸素の需要と供給のアンバランスによって生ずる一つの症候群であり,絶対的なO2不足によってもたらされる心筋硬塞と異る点は,その発生に機能的な側面を有することである。狭心症の多くは冠動脈硬化症による冠動脈狭窄を基礎として,労作,感動,不安,恐怖,寒冷,食事,排便などの誘因が加って発生するのに対し,冠動脈に器質的疾患を有しなくてもその血行力学的関係や,疾患そのものの特徽から,狭心症を生ずる可能性のある一群の疾患がある。それぞれについては異論もあるが,成書1)2)にはつぎのものがあげられている。
1)左心系に血行力学的変化のあるもの
1.大動脈弁閉鎖不全症
2.大動脈弁狭窄症,左室流出路狭窄等
3.僧帽弁狭窄症
2)右心系に異常のあるもの
肺動脈弁狭窄症,原発性肺高血圧症,Fallot四徴症,心房中隔欠損症,原発性肺動脈拡張症など
3)冠動脈に機能的異常を生ずるもの
冠動脈のspasm
4)全身性疾患と関係するもの
甲状腺機能亢進症,高度の貧血等
5)発作性頻拍,および徐脈
与えられた課題"機能性狭心症"という語は本来用語としては存在しないが,ここでは上記の疾患で,機能性に狭心症の起る可能性について逐一論述をすすめることにする。
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