Japanese
English
綜説
急性心筋硬塞症の血行動態測定の意義
On the evaluation of hemodynamics in acute myocardial infarction
中村 芳郎
1
,
綾 正二郎
1
,
大鈴 文孝
1
,
秋月 哲史
1
Yoshiro Nakamura
1
,
Shojiro Aya
1
,
Fumitaka Ohsuzu
1
,
Satoshi Akizuki
1
1慶応義塾大学医学部内科
1Department of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.773-782
発行日 1975年9月15日
Published Date 1975/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202809
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急性心筋硬塞症のelectrical failureに対する治療成績が向上した理由は,1)致死的不整脈に対する治療法(例えば電気除細動器)を得たこと,2)その治療または予防の対象となる現象(例えば心室細動,頻発する心室期外収縮)が理解されていること,3)その観測法(心電図モニター)が完成していること,の三者が結びついたからである。これに対し,多くの努力にもかかわらず,power failureの治療が好成績を得ていない理由は,治療の対象となる現象の認識方法が確立されていないためである。例えば,急性心筋硬塞で左室不全がおこったことを左室拡張終末期圧の上昇という現象でとり上げたとしても,これを目標に治療をすることが正しいかどうかよくわかっていない。急性心筋硬塞症の血行動態変化に関与する因子は,硬塞部の広さ,硬塞部・生存部を含めての心室コンプライアンス,生存心筋の収縮性,僧帽弁の機能,および末梢血管の態度などがあげられよう。これらの因子を血行動態から分析して治療を加える方向をとるべきなのであろうが,その因子を示せるような計測法が確立されていない上その因子が改善してゆくことを監視するには何を測定すればよいかも不明である。
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