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心臓手術の成否に関係する因子の数は多いが,最も重要な因子は手術により修復された心臓が術後に充分な心拍出量と動脈圧を維持し,良好な循環動態を保つ機能を有するか否かにある。たとえばファロー四徴症根治手術の場合に,修復された右室が,術後に多少とも残存する右室流出路狭窄に打勝って正常な心拍出量を送りだす機能を有するか否かが手術の予後を決める鍵となる。
このような臨床的観察から著者は心臓が正常の心拍出量を保ちうる範囲における最大の圧負荷(afterload)をもって心室機能を測定する方法について検討を行なってきた7)。具体的には左室については大動脈,右室については肺動脈の狭窄を徐々に強めて行くと,収縮期心室圧,心拍出量,平均動脈圧は図1に示したような経過で変化する。心拍出量あるいは平均動脈圧が低下し始める点の収縮期心室圧は心室が循環動態のhomeostasisを保ちうる最大の圧負荷を示し,これを定常循環最高心室圧と名付け,心室機能をあらわす示標となりうると考えた。また定常循環最高心室圧と狭窄前の収縮期心室圧との差,定常循環最高圧差は循環動態のhomeostasisを保つ範囲において,なお許容しうる圧負荷の大きさを示すので,圧負荷に対する心臓予備力に関連する示標となることが考えられる。
Left ventricular pump performance was evaluated as a maximal ventricular force maintaining a circulatory homeostasis against afterload. Experiments were carried out in twelve mongrel dogs on right heart bypass preparations. The aorta was gradually constricted by a rumell tourniquet around it.
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