Japanese
English
綜説
心筋収縮性の臨床的評価—特にVmaxを中心に
Clinical evaluation of myocardial contractility
楠川 禮造
1
Reizo Kusukawa
1
1天理よろづ相談所病院循環器内科
1Tenri Hospital
pp.733-744
発行日 1974年10月15日
Published Date 1974/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202672
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単一心筋線維においては初期長(前負荷)および負荷(後負荷)を決定すれば一定のInotropic state (収縮性)において刺激回数により活動状態が決定される。この事は実験心または臨床においても前負荷を拡張終期圧,後負荷を大動脈圧,刺激回数を心拍数におきかえればそのままあてはめうる。しかし臨床において遭遇する各種心疾患では負荷状態が様々であり,心臓の機械的作用よりInotropic stateを論じる事は負荷条件を規定しなければならないので色々な問題があるようである。このため心臓に対する負荷には影響されない心臓の収縮性を表わす指標を求める事は臨床はもとより,生理学的,薬理学的分野においても重要な課題である。事実現在までの膨大なる心筋収縮性に関する研究はほとんどこの点に向けられているようである。
しかしこの点に関する現在における結論はどうであろうか。Europian Journal of Cardiologyの創刊号より3号にわたって報告される最新の知見においても見られる如く心筋収縮に関する最も基本問題と考えられる力—速度関係3)98), Series Elastic Component54),心筋の模型9),活動状態20)の問題が新しい方法論に依り再吟味されており,特にSonnenblick119)が北斉の「群盲像を撫でる」の図を引用して心筋収縮性の定義の不完全さを述べている事に注目したい。
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