Japanese
English
綜説
心筋収縮性に関する最近の知見
Brief Review on Assessment of Myocardial Contractility
菅 弘之
1
Hiroyuki Suga
1
1東京大学医学部生理学教室
1Dept. of Physiology, Faculty of Med., Univ. of Tokyo
pp.645-651
発行日 1974年9月15日
Published Date 1974/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202661
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収縮性(contractility)とは,収縮の大きさや速さで表わされる収縮の特性を意味する。心筋の収縮性の研究は,心機能の研究と歩みを共にしてきた。そこで,本綜説においては,切り出された心筋標本の収縮性のみならず,心筋からでき上っている心室,心臓の収縮性についても考慮したい。それらの研究の歴史,現状,いくつかの問題点などについては,すでに本誌上でも論じられているが1)〜6),最近この分野での進展は速い。
心機能あるいは心筋収縮性を考えるに際して,大きく3つの異った立場があると思われる。第1は,心臓全体あるいは右心または左心をポンプとしてみる立場,第2は心室のみあるいは心房のみを収縮する袋として考える立場,第3は心筋線維そのものの特性に注目する立場である。Frank, Starling, Sarnoffらは,第1あるいは第2の立場で,心機能を理解し,心臓あるいは心室としての収縮性を評価することを試みた7)。現在でもGuytonらによって,この立場がとられている8)。一方,第3の立場は,Hillによって骨格筋の収縮特性がその負荷—短縮速度関係であらわされ9),その後Abott & Mommaerts, Sonnenblickによって心筋(乳頭筋)標本においても同様な知見がえられてから,急に多くの研究者が興味をもつようになって来た立場である10)。
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