Japanese
English
ジュニアコース
血液によるCO2の運搬
Transport of CO2 in Blood
高野 成子
1
,
本田 良行
1
Nariko Takano
1
,
Yoshiyuki Honda
1
1金沢大学医学部第一生理学教室
11st Department of Physiology, School of Medicine, Kanazawa University
pp.539-546
発行日 1973年6月15日
Published Date 1973/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202501
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物質代謝により生成されるCO2量は,安静時においてすでに200mlにも達する。それと等量のCO2が肺胞より呼出され,身体各部分のCO2濃度またはCO2張力は正常に保たれている。CO2排出の調節は,組織細胞から肺胞に至るCO2移動経路(細胞→間質液→血液→肺胞→呼気)内でのCO2分圧勾配およびそれと協同して働く生理的諸機能すなわち細胞膜におけるガス交換,血液によるCO2の運搬,血流量,肺胞でのガス交換および肺の換気によって行なわれていることは言をまたない。本稿の主題はこれら諸機能のうちの血液によるCO2の運搬についてである。図1はCO2運搬の問題に包含される質的ならびに量的事がらを直截に表わしたものであり,どの生理学教科書にもみられる。血液に吸収されるCO2量(血液の総炭酸量——以下CCO2とする)は血液と平衡した組織または肺胞のPCO2に依存し,両者の関係は図1のような曲線性のCO2解離曲線で表わされる。さらに重要なことは,CCO2は血液のPO2または酸素飽和度依存性であるということである。PO2が低いほど血液はより多くのCO2を含有しうる。血液のこの特異的性質は1914年Christiansen, DouglasとHaldaneによって発見された4a)。今日CDH効果または単にHaldane効果と呼ばれ,組織におけるCO2捕捉(肺ではその逆)のpower upという意味において,CO2運搬に重要な役割を演じている。
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