Japanese
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特集 血行力学的にみた大動脈弁膜症
大動脈弁膜症における心音図と血行動態
Hemodynamic Interpretation of Phonocardiogram in Aortic Valve Disease
坂本 二哉
1
Tsuguya Sakamoto
1
1東京大学医学部第二内科学教室
1The Second Department of Internal Medicine, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.299-314
発行日 1973年4月15日
Published Date 1973/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202480
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過去約四半世紀にわたる広範な血行力学的研究の進歩とともに,古くから経験的に語り伝えられてきた数々の聴診所見にも,新たな生理学的解釈法が適用され,今から約10年ほど前には,ほとんどすべての聴診所見を血行力学的見地から律しようとする気運が大であった1)。そのこと自体は,過去をふり返ってみて決して誤りではなかったのであるが,古くから伝えられた病理学的な側面もまた,聴診所見に大きな影響を与えていることは事実であって,これが全く同一の血行動態下において,異なった聴診所見が生じる大きな原因となっている。
元来,心音図は聴診所見の客観化という命題から完全に逸脱することはできないから,以下に述べる心音図所見には聴診所見の多くもともに扱われており,したがって血行力学的な解釈では律しきれないものも含まれている。ことに心音・心雑音の最強点や伝達特性,純音響学的な諸性質などがそれである。本稿は大動脈弁膜症における心音図がどのように血行動態を反映しているかについての記述であるが,上述の理由でその問題から多少は離れた内容をも述べなければならないので,その点は前もって了承願いたい。
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