Japanese
English
Bedside Teaching
大動脈弁膜症の狭心痛
Angina Pectoris in Patients with Aortic Valve Disease
杉原 洋樹
1
,
中川 雅夫
1
Hiroki Sugihara
1
,
Masao Nakagawa
1
1京都府立医科大学第2内科
1Second Department of Medicine, Kyoto Prefectural University of Medicine
pp.1191-1195
発行日 1992年12月15日
Published Date 1992/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900586
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はじめに
狭心痛は,冠動脈疾患に伴う症状であるが,これと同様の狭心痛を生じる非冠動脈疾患も存在する.大動脈弁膜症(大動脈弁狭心症および大動脈弁逆流症),肥大型心筋症,Syndrome Xなどがその代表的疾患であり,冠動脈造影上の狭窄はないが,狭心痛の成因は心筋虚血に由来することが推定されている.
近年,肥大型心筋症の病態に虚血が関与するとの報告が多数見られ,その機序を解明すべく種々の面から研究されている.一方,大動脈弁疾患における狭心痛も以前より虚血によることが推定され,実験的および臨床的に研究されてきた1〜3).とりわけ,大動脈弁狭窄症患者に狭心痛を伴うことのあることは教科書的にもよく知られた事実であるが,その機序については完全に解明されているとは言い難い.リウマチ熱による弁膜症は最近明らかに減少しているが,大動脈弁膜症はその原因が多岐にわたることもあり,必ずしも減少していないかもしれない.高齢化社会を迎えつつあるわが国の現状において,大動脈弁膜症は今後むしろ増加することが予想される4).したがって,大動脈弁膜症の狭心痛発生の機序解明,また,心筋虚血が成因であるとすれば,臨床的に虚血所見をいかに把握するかが重要になる.近年,負荷201Tl心筋シンチグラムにより冠動脈狭窄のない肥大型心筋症5)や大動脈弁疾患6)における運動負荷時の一過性灌流低下の検出が可能になってきている.
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