Japanese
English
綜説
電気生理学的に見た不整脈の成因
Electrophysiological Mechanisms of Cardiac Arrhythmias
渡部 良夫
1
Yoshio Watanabe
1
1Hahnemann Medical College and Hospital Philadelphia,
pp.313-326
発行日 1972年4月15日
Published Date 1972/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202371
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臨床上の目的からする不整脈の分類は,刺激の発生部位(上室性か心室性)とかその現れ方(期外収縮・頻拍・粗動・細動など)といった叙述的な命名によって行なわれるのがほとんどである。一方,心臓の律動性が個々の心筋繊維の電気的特性に依存することを考えれば,不整脈の成因を細胞の電気生理の面から論じなければならないことは明らかであろう。こうした電気生理的な見地からは,不整脈の原因を(1)刺激生成の異常,(2)興奮伝導の障害とに二大別するのが普通である。これら二つの機転に関する知識は,細胞内微小電極法を中心とした各種の実験的研究によって,過去20年程の間に飛躍的に増大してきた。それにもかかわらず,未だに以上二つの機転のどちらによって起こるか定め難い脈拍異常もあり,また刺激生成異常と伝導障害の双方が密接に関係しあって起こる不整脈の認められることも事実である。これらの問題についてはすでに何人かの研究者による綜説が出されており1)〜4),著者らは先に刺激生成および伝導の異常を表1のように分類したが4),本稿ではそれらのうちで比較的重要と考えられる幾つかの機序を選んで論じてみたいと思う。
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