Japanese
English
綜説
人工透析腎の循環動態
Circulatory Dynamics on Hemodialysis
谷口 興一
1
Koichi Taniguchi
1
1東京医科歯科大学第2内科学教室
12nd Department of Internal Medicine, School of Medicine, Tokyo Dental and Medical University
pp.719-729
発行日 1971年9月15日
Published Date 1971/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202301
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はじめに
人工腎臓1)2)による長期透析法の開発は,慢性腎不全の積極的療法として脚光をあび,まだいろいろ解決すべき問題点かあるにしても,腎不全患者の治療と人生に対して,一縷の光荘を与えているということができよう。私達の教室におきましても,腎研究班の教室員が意欲的に人工透析を続け,過去数年にわたって,患者の社会復帰3)4)に成功している。1960年Scriber8)による動静脈バイパスの創始以来,動静脈シャントの造成法およびその材料などの改良に伴い,長期間歇的人工透析5)〜7)が可能となった。しかしながら人工腎臓による長期透析も,感染7),出血,静脈炎,血栓などの合併症や,人工透析の心臓血管系に対する血行力学的負荷,さらに長期動静脈シャントの心臓に対する影響など,今後検討しなければならない問題点はたくさんある。昭和43年第11回日本腎臓学会において,教室の笹岡52)が血行動態より見た人工透析に関して報告した。人工透析患者について心カテーテル検査を行ない,その血行動態を論じた文献は,著者がしらべた範囲では見られない。本稿は人工透析腎の循環動態について総説を書けということでありますが,以上述べたような理由から,当教室の人工透析続行中の患者について,著者が施行した心カテーテル検査の成績を中心とし,文献的考察を加えることにします。
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