綜説
power failure syndrome
中村 芳郎
1
,
松村 紀高
1
,
山崎 元
1
Yoshiro Nakamura
1
,
Noritaka Matsumura
1
,
Hajime Yamazaki
1
1慶応義塾大学医学部内科学教室
1Department of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.368-374
発行日 1971年5月15日
Published Date 1971/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202258
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はじめに
心筋梗塞症の急性期死亡率はcoronary care unitの利用により重篤な不整脈を監視,治療して減少することができたと信じられているが1)〜5),いわゆるpower failureに対してはその治療が目下の問題となっている。1970年にLondonで開かれた第4回World con—gress of cardiologyでも,Round table sessionとしてpower failure and the shock syndromeという題がとり上げられている。このPower failureなる言葉の使われ方は一般にあいまいであり,概念的にelectri—cal failureに対応させて使用している面は容易に理解できるけれども,何故このような言葉が使われるのかについては明瞭な理解がなされていないのが現状のように思われる。
「呼吸と循環」では,1971年度の1月号に心筋梗塞特集が出されている。その巻頭言で斉藤十六博士はこのpower failureという語を使用されているが,他の論文にこの語は見られず,細野講師が6)"心収縮力の減少による左心不全,ショックなどすなわちpump failure"として心筋梗塞発症後の血行動態について述べておられる。
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