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はじめに
in vitroにおける,いわゆる気管支洗滌法の確立とともに,本方法が安定で,しかもroutineに行ないうることが,最近,多くの報告により,うかがい知ることができる1)〜4)。
しかしながら,従来行なわれてきた気管支洗滌法は,少数例を除きその目的のほとんどが,pulmonary sur—factantの検索のためであり,大量の洗滌液を必要とする気管支洗滌法としての目的を持つものではなかったはずである。
外科手術後,特に,新生児においての気管支洗滌法と陽圧呼吸との関係は,文献5)〜7)にみられるが,その多くは量的にきわめて少量であり,toiletとしての役割を果しているかは,症例によりまちまちである。
大量の液体による気管支洗滌法が危惧された最も大きな原因は,肺胞に流入した液体を,toiletの目的でpumpingすることにより pulmonary surfactantが溶出,または消失して,本法施行後,無気肺を起こす危険性をはらんでいたと考えられるからであろう。しかしながら,界面化学的にこの危惧を再検討すると,pul—monary surfactantとして存在しているphospholi—pidsは,決してmonolayerであろうはずはなく,少なくともdouble,もしくはpolylayerであり,その多くは,予備量としてair-liquid interfaceのpolar—sideにmicelleとして存在してしかるべきである8)。この事実は,実験的に電子顕微鏡によって示された如く,正常犬において,気管支洗滌の前後,histochemi—calには何ら相異はみられなかった。
我々は,現在術後の機械的な肺合併症を伴う患者に,積極的に気管支洗滌法を行なって良好なる成績をおさめている。
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