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帝切時における抗生物質の洗滌による感染予防効果
田部井 徹
1
1赤心堂病院
pp.568
発行日 1987年9月10日
Published Date 1987/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207644
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腹式帝王切開術における抗生物質の全身投与は,術後のfebrile morbi—dity (FM),fever index (FI)および感染率を低下させ,著明な感染予防効果を示す1)。帝切後感染の予防効果に関する最近発表された26文献の成績2)を集計すると,抗生物質を投与した群(1,443名)のFMは20%であり,非投与の対照群(1,139名)の52%に比べて1/2以下の低率であり,さらに投与群における術後子宮内膜炎の発生頻度は12%であり,非投与群の34%に比べて1/2以下の低値を示し,抗生物質の投与が術後感染の予防に有効であることを示唆した。
一般に,帝切時における抗生物質は,静脈内への全身投与のことが多いが,Ruddら3)は,子宮壁切開創あるいは子宮腔内を抗生物質の溶解液で洗滌することを試みた。彼らの洗滌方法は第2世代セフェム系抗生物質であるCefamandol nafate2grを生理食塩水800mlに溶解して,胎盤を用手的に娩出した後の子宮壁切開創部を洗滌し,さらに縫合部を再度数回洗滌した。抗生物質による洗滌群のFIは19.6degreehoursであり,また術後子宮内膜炎の発生率は0%であり,生食のみで洗滌した群の各値51.9degreehours,および26.7%,あるいは洗滌をしなかった群の37.3degreehours,23.3%に比べて著しい低値を示した。
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