今月の表紙
肺胞の電顕像
河合 清之
1
1労働省労働衛生研究所
pp.373
発行日 1969年4月10日
Published Date 1969/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202608
- 有料閲覧
- 文献概要
表紙の写真はラット肺の電顕像である.光顕下に見慣れたイメージとの対比のために,かなり低い倍率で撮影されている.肺はつねに外気に触れているから,汚れた空気の呼吸や感染などの結果,ふつうの意味での"正常"な肺でも,厳密には種々の程度の反応像を示し,標準的な像はなかなかみられないものである.表紙写真の試料は,特殊な方法でPPLOなどの病原体を除き,恒温恒湿,病原体や汚れた空気との接触をできるだけ防いだ環境で,繁殖飼育されたラットの肺からとったもので,かなりきれいなものである.
写真は表紙の一部で,いくつかの肺胞(Al)が区切られ,いわゆる肺胞穴(Po)もみえる.肺胞は少量の結合織性間質と豊富な毛細血管網(Cp)からなり,血管腔は内皮細胞(En)の薄い細胞質で連続的に囲まれ,内腔には多くの赤血球(E),若干の白血球(Le),血小板(Pl)がみえる。間質はいくらか浮腫性であるが,線維芽細胞と考えられる間質細胞(Itc)が細長い細胞質突起を四方に伸ばしており,組織球(His),膠原線維(Co)などもみえる.
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.