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講座
リンパ流
Lymphatic Flow
関 清
1
Kiyoshi Seki
1
1東邦大学医学部第1内科学教室
1The 1st Department of Internal Medicine, School of Medicine, Toho University
pp.115-120
発行日 1969年2月15日
Published Date 1969/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201992
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Ⅰ.リンパ流
血液中の水分,ガス,電解質その他の溶質,さらに少量ではあるが蛋白質は,微小血管壁を通過して組織に至り,細胞代謝の影響を受けた後,大部分はここで血管内に再吸収され,蛋白を含んだ残りの少量の液はリンパ管内に移行してリンパ液となり,静脈内に還流される。このリンパ流は生体のmilieu interieurの恒常性を保つ上に重要な役割を果たしているには違いないと考えられるが,その生物学的意義は十分明らかにされてはいない。確かにリンパ流の阻害はその臓器,組織に重大な障害をきたすが,また一方生理学的状態においてさえも,リンパ流量,リンパ管内圧,リンパ液の成分などが,臓器,組織によって,また生体の条件によっても著しく変化し,血液循環系のような恒常性はみられないのである。病的状態においてリンパ流がいかなる態度を示しているかも,不明のことが多いが,これには測定方法上の隘路が大いに関係していると思う。
ここでは,1)リンパ流に関係する形態学上の問題,特に最近間題になっている lymphatico-venous ana—stomosis,2)リンパ流に関する渚因子,特に著者がその一部の解明に関係した結合織の意義,3)リソバ流阻害,病的状態のリンパ流などについて,限られた紙数を埋めることにする。
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