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綜説
心筋疾患から特発性心筋症へ(1)—特発性心筋症の歴史と問題点
From Myocardial Disease to Idiopathic Cardiomyopathy (1)
鷹津 正
1
,
河村 慧四郎
1
Tadasu Takatsu
1
,
Keishiro Kawamura
1
1大阪医科大学第3内科
1The 3rd Division, Dept. of Int. Med., Osaka Medical College
pp.1051-1058
発行日 1978年11月15日
Published Date 1978/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203268
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戦後,外科的療法の発達によりその恩恵をうけた心弁膜疾患,先天性疾患,抗生剤の発見,進展による人口の老齢化とともに心疾患の臨床において最も高い頻度を示す動脈硬化,高血圧に関連する心疾患,その他感染性疾患,内分泌性疾患,代謝疾患,結合織病などに際してみられる心障害など,すべて心拡大,あるいは心肥大をきたし,臨床的には心不全,病理組織学的には心筋線維の肥大,変性,線維化の像を呈する。すなわち,以上の疾患はすべて終局的には心筋障害をきたすものと考えられる。
他方,原発性に心筋障害をきたす疾患としてリウマチ熱,ジフテリアによる急性心筋炎は古く臨床家により容易に診断された。しかし,原因と思われるものが全くなく,慢性に心肥大,あるいは心拡大,心筋線維化が現われる心疾患が存在することも知られており,診断名に困却して漠然と慢性心筋炎,心筋変性症myodegeneratiocordisと呼ばれた。現在原発性心筋疾患primary myocardial disease (PMD),あるいは特発性心筋症idiopathic cardiomyopathyと称されるものである。
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