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Ⅰ.運動負荷の方法について
Masterの"two steps"は,いうまでもなく,大きな貢献1)をしてきた。しかし,体重,年齢表で,運動量をコントロールするにしても,体力医学的には問題にならないグローブさである。しかし,端的にいえば,心疾患,ことに,虚血性心疾患の診断用を意図したもので,それはそれなりの価値を十分にもっている。Masterの回顧を読み,また氏自ら述べたlimitation2)を読むとき,すぐれた人の学問にたいする謙虚さに心打たれるものがある。
treadmill式の運動負荷器は,近年,かなり改良されてきた。しかし,いかにしても定量的に使う場合のcalibrationが問題である。われわれは,運動負荷最中に行なうEcgばかりでなく,心内カテーテルをも含む一切の物理的循環力学的分析のために必要とする計器を被検者に装着しなければならない。それゆえ,この目的に便利な自転車型ergometer3)を使っている。treadmill型は立位の運動負荷を,われわれの自転車型ergometerは臥位のそれを測ることになる。費用さえあれば,双方ともに行ないたいのであるが,目下のところ不可能である。treadmillが米英学派で,自転車ergometerが欧州学派によって,好んで使われているが,われわれは,こんなことには無関心である。自転車ergometerにしても,フライブルグ学派の人たちは,しばしば,上腕に適用している。これは負荷に対する生体反応が,容易に出ないことと,やはり,体位・計器のとりつけなどからして,われわれは,現在使っていない。しかし,自転車型ergometerの多くでも,ペダルの回転速度が変わると運動負荷量が変わり,一定の運動負荷量を得るのが困難である。そこで,数年前から,乏しい研究スタッフながら,東京都電気研究所の計測部の方々,とくに小川契以知氏の指導によって,定最型を試作してきた4)。そのプリンシプルは,いずれも直流発電機を使い,ペダルの回転速度が一定の範囲内で変わっても,運動負荷量が一定となるように工夫した。
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