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ジュニアコース 検査データのみかたと考えかた(6)
循環系におけるいわゆる定量化に関する諸問題(その2)—生体現象と物理学的理論のへだたり
Clinical Applicability of Physics on Circulatory System (2):Pulmonary Circulation and Physical Theory
斎藤 十六
1
,
中村 仁
1
,
谷口 寿雄
1
Soroku Saitoh
1
,
Yasushi Nakamura
1
,
Toshio Taniguchi
1
1千葉大学医学部第二内科
12nd Department of Internal Medicine, School of Medicine, Chiba University
pp.1085-1097
発行日 1967年12月15日
Published Date 1967/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201853
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循環を支配する諸因子の中には,生体内での研究に,困難なものが多い。たとえば粘性液体(血液)を含んだ弾性管内(血管)の波の伝播特性を調べるさいには,反射波の存在を無視できないから,その結果の説明を一元的に行なうわけにはいかない。しかしながら,このようなさい,理論的分析や静水力学的モデル実験の結果を考察し,これを動脈樹で記録した,より複雑な所見の説明の助けにする必要がある。また,血液粘性のように,Poiseuille(I−1.および2.で後述)のような単純な関係式からでも,数学的に導き出して十分説明できる場合も多い。
循環系を支配する三つの重要な要素は,流れ,圧,および抵抗である。この三者の関係を電気的等価回路によって,説明することがある。生体内での流れと圧は拍動性であるから,もし循環を等価回路に置き直せば,この関係を交流理論で説明できる可能性がある39)。しかし,臨床の実際では,かなり複雑な手法が必要なため,一般的に用いるのは,多少とも困難である。そこで,拍動流であっても,つねに定常成分,すなわち平均流(あるいは,圧)をもっているから,これに直流概念を応用することもできる。循環流を定常流と考えれば,Poiseuille理諭の応用の可能性も出てくる40)。それゆえ,主題を二つに分けて,定常流と拍動流について,肺循環系に関連した物理理論の基礎とその応用の限界ならびに生理学について述べる。
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