Japanese
English
特集 運動の生理
8.機能検査としての運動負荷試験—呼吸系
Exercise Loading on Pulmonary Function Tests
梅田 博道
1
,
鈴木 清
1
Hiromichi Umeda
1
,
Kiyoshi Suzuki
1
1東京医科歯科大学第二内科
12nd Department of Internal Medicine, School of Medicine, Tokyo Medical and Dental University
pp.501-506
発行日 1968年6月15日
Published Date 1968/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201911
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
運動を負荷すると,体内のO2需要が増加し,それに伴って呼吸・循環系の予備力が動員される。それでも需要に応じきれなくなると,血液ガスの変化を生ずる。すなわち,肺不全の肺生理学的特徴は,動脈血O2分圧と動脈血CO2分圧が正常範囲外にあることで,安静時には正常のレベルを保ちえても,労作時には異常なパターンを示す症例は臨床的によく見うけることである。また肺機能障害者といえども日常生活で多少とも活動するのが常態なので,運動負荷中あるいは運動負荷後の血液ガス所見は,臨床的評価に大切である。すなわち,運動負荷試験は潜在性の呼吸機能障害の発見,息切れの検査としてだけでなく,呼吸機能障害者の対策の資料としてもきわめて重要だと思う。
著者は運動負荷後の血液ガス所見により,Pao2, Paco2ともに正常のレベルを保つもの,Pao2の低下のみを示すもの,Pao2の低下に加えてPaco2の上昇をきたすものの三群に分類し,それぞれの群について心肺性諸因子の運動負荷による変動を検討した。この成績は第17回日本医学会総会シンポジウムで報告し,その要旨は本誌15巻・9号に述べたとおりである。ところで,呼吸機能の本質からいって,呼吸系からみた運動負荷試験では,やはり肺胞内ガス交換を知らねばならない。今回,著者は肺胞内ガス交換障害を総合的に示す指標として,肺胞気—動脈血O2分圧較差,A-aDo2をとりあげ,運動負荷による変化を追求した。また,A-aDo2に影響を与えると考えられる諸因子の変化についても考察した。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.