Japanese
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ジュニアコース 検査データのみかたと考えかた(4)
循環系におけるいわゆる定量化に関する諸問題(その1)
Clinical Applicability of Physics on Circulatory System (1) Evaluation of the Biological Phenomena in Pulmonary Circulation
斎藤 十六
1
,
中村 仁
1
,
谷口 寿雄
1
Soroku Saitoh
1
,
Yasushi Nakamura
1
,
Toshio Yaguchi
1
1千葉大学医学部第二内科
12nd Department of Internal Medicine, School of Medicine, Chiba University
pp.979-988
発行日 1967年11月15日
Published Date 1967/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201842
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序論
近年,生物学の研究部門に,新しい分析方法や計測装置が導入されている。生体系の分析目的は,現象を定量的に表現することにあり,この結果から,さまざまな条件下における生体の応答を予測することも可能である。ただし,心・脈管系の力学的応答を特徴づける機能,たとえば,圧〜流れ関係や張力〜歪関係などは,一般に時間と空間により変化し,人が作った系よりも複雑である。いかなる分析方法でも,最初の問題は,計測した変数を一定の数値として表現することにある。古典的には,これは,平均値すなわち時間と空間にかんして,全体を統合する形で行なわれた。たとえば,心拍出量,血流抵抗などである。しかし,循環系にみる振動数依存現象にたいして,かような方法で系の機能を分析すると,重要な局面が不明瞭となる。そこで,今回は,肺血行動態の定量化に関連して,生体現象とのへだたりの原因について述べる。
生体現象とデータの間のへだたりをおこす原因として,第1に,計測法の限界,誤差,または測定法がある。第2は,応用した物理学的理論の仮定が,生体系にとって,どの程度是認しうるかの問題である。前者には,測定装置や圧測定時の副次的振動など測定方法にもとづくへだたりがあり,後者には,非ニュートン流や循環の非線形の問題がある。
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