Japanese
English
講座 "環境と呼吸・循環"シリーズ・2
高山病
Mountain Sickness
高木 健太郎
1
,
永坂 鉄夫
1
,
佐竹 辰夫
2
Kentaro Takagi
1
,
Tetsuo Nagasaka
1
,
Tatsuo Satake
2
1名古屋大学医学部第一生理
2名古屋大学医学部第二内科
11st Department of Physiology, School of Medicine, Nagoya University
22nd Department of Internal Medicine, School of Medicine, Nagoya University
pp.587-593
発行日 1967年7月15日
Published Date 1967/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201792
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はじめに
高山では,低圧低酸素をはじめとして寒冷,乾燥,強い紫外線,運動による疲労の増大,栄養障害などの諸因子が錯綜して一つの特異的な環境を形成する。このような環境は当然のことながら生体の生理学的,生化学的機能に強い影響をあたえ,ひいては組織,解剖学的にも変化をおこさせる。Mongeらはすでに1928年に,運動時の息切れと右心肥大を特徴とする慢性の馴応障害を報告したが,それ以降高山病に関する系統的な研究がすすみ,1937年にはHurtadoにより高地における急性肺水腫の発生が報告され,これが以後一般に高山病の典型として理解されるようになった。現在では,前者の慢性馴応障害についても,一般的に高地の原住民にみとめられる平均値以上に著しい肺高圧症と右心肥大などがみとめられた場合には,一種のmaladaptation syndromeとして高山病の範疇に入れた方がよいと考えられている。ここでは便宜的に高山病を急性と慢性に分けて記載する。
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