ひとくちメモ
高山と妊娠
相馬 広明
1
1東京医科大学産婦人科
pp.931
発行日 1977年11月10日
Published Date 1977/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205703
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アンデス山脈が縦断するペルーでは,高山地帯に住む人々と,海岸地帯の住民とが判然としている。最近は次第に山岳地帯から海岸地帯へ移る人々が増えているというが,山岳地帯での妊婦や分娩に及ぼす影響についての関心は深い。
とくに胎盤の大きさや形態がhypoxicな環境因子によって格差を生ずるかという問題については,ペルーでのChabesら(1968)の研究では,海抜12,551 ftの高地に住む人々の胎盤は,海岸地帯に住む人々のそれに比べて,円形や卵円形以外のいろいろの形の胎盤が多くみられたことと,この際,臍帯血の血色素量の増加がそれに伴ったという。すでにLichty (1957)らによるコロラドの山岳地帯(10,000 ft以上)で生まれた児は,Sea levelで生まれた児より体重が小さいという報告がある。さらにSobrevillaら(1968)の報告では,ペルーアンデス地方の4,200mにある町での妊婦の尿中エストリオール値は,妊娠末期で海岸地方に住む妊婦のそれに比して,低値を示しており,しかもリマ市(Sea level)での平均児体重3,603 gに比して,この14,000 ftの高山地でのそれは2,995gmと低く,胎盤重量も539gmというリマ市での平均値に比して474gmと軽量を示したという。
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