Medical Topics
高山病と高地性肺水腫,他
K.K
pp.98-99
発行日 1967年10月1日
Published Date 1967/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913329
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近頃は交通機関の発達と共に誰でも短時間に高い山に登れるようになってきたが,急に2000m以上の高地に到達した後に起こる頭痛,めまい,全身倦怠,嘔気,食思不振,運動時の息切れなどは急性高山病といわれている。これに対して高地に長期間住む人では空気中の酸素の分圧が低いため,動脈血の酸素飽和度は低下し,赤血球の増加を来すが,動脈血のCO2張力はむしろ低い。しかし慢性高山病といわれるものは呼吸中枢のCO2に対する感受性が低下して換気量が少なくなり,動脈血CO2張力は増加し,また低酸素血のため肺動脈圧は増加してくる。
高山病に対し,高地性肺水腫と呼ばれるものは低地では心肺機能に異常はないが,高地に登ると低酸素に対して敏感に反応するもので,普通3000m以上の高地に登ると1〜3日で発病してくる。まず急性高山病の症状に続いて呼吸困難,咳,血痰,心悸亢進など,肺水腫の症状を来し,次いで意識障害を来すに到る。頻脈,チアノーゼ,胸部のラ音などがみられ,胸部レ線では肺血管陰影の拡大と肺野にびまん性の滲出像が認められ,心電図では急性右心負荷の所見を示す。
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