Japanese
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講座
新生児における循環系の諸問題
Some Aspects of the Neonatal Circulation
村中 篤
1
Atsushi Muranaka
1
1東北大学医学部産婦人科
1Department of Obstetrics and Gynecology, School of Medicine, Tohoku University
pp.129-135
発行日 1967年2月15日
Published Date 1967/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201740
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はじめに
ひとくちに新生児の循環といっても,今日までに研究の対象とされたものは,心肺循環が主であって,それに付随して静脈管と肝循環が多少手がつけられた程度であって,他の多くの分野,とくに脳循環や腎の循環機能などは,臨床的にも早急に研究の成果がまたれているにもかかわらず,ほとんど未開拓といってよい。このような意味からまことに不十分ではあるが,今日までに明らかにされてきた新生児の心肺循環について,主として機能的な面に関する研究の成果を説明し,今後の問題点を指摘してみたいと思う。
結局,新生児の循環機能の特色というか,成人や幼児のそれと比較して著しく異なる点を考えてみると,その非定常性にあるといえる。すなわち,いかなる児の,いかなる時期であっても決まった状態というものが存在しない。したがってそれに対応するいろいろな検査所見,たとえば心電図,心音図,血圧,脈波,レ線所見などのどの一つをとってみても,定形どいうものがない。新生児循環の研究につきまとう困難のすべては,この非定常性にあり,刻々と変化する状況のなかで,生理的なものと病的なものとを鑑別していかなければならないところに特色がある。
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