Japanese
English
特集 肺気腫
慢性肺気腫における努力性呼出曲線の分析
The Analysis of Forced Expiratory Curve in Chronic Emphysema
西本 幸男
1
,
勝田 静知
1
,
佐々木 正博
1
,
河面 博久
1
,
神辺 真之
1
Yukio Nishimoto
1
,
Shizutomo Katsuta
1
,
Masahiro Sasaki
1
,
Hirohisa Khomo
1
,
Masayuki Kanbe
1
1広島大学医学部第2内科学教室
12nd Department of Internal Medicine, Hiroshima University, School of Medicine
pp.615-621
発行日 1970年7月15日
Published Date 1970/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202167
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はじめに
肺生理学研究が著るしく進歩した今日においても,スパイログラフィーが肺機能検査のうち基本的なものとしての重要性はいささかも失なわれてはいない。スパイログラムのうち努力性呼出曲線は,中村・滝島ら1)が指摘している如く,呼息筋の力や胸廓系の抵抗を一定とみなせば,肺気道系の粘性抵抗を推測するのに簡易な方法であり,その臨床的意義は決して少なくない。したがって気管支喘息・慢性肺気腫・慢性気管支炎など閉塞性障害を基本的パターンとする疾患の診断には必要欠くべからざる検査となっている。ところがその閉塞性障害の判断に当っては主として1秒率が用いられており,努力性呼出曲線上2秒以後の部分から与えられる情報はほとんどとり上げられていないのが現状である。著者ら2)は,先に各年齢層を含む健康人男女合計814例の努力性呼出曲線の分析を試みた結果,加齢の影響はむしろ呼出曲線の後半部に著るしく現われることを明らかにした。したがって努力性呼出曲線の判断には1秒率という曲線上の1時点を捕えるのみでなく,曲線全体を評価することが必要であると考えているが,今回は慢性肺気腫症例について同様の検討を行なったので,その大要を報告したいと思う。
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