特集 肺循環(1)内科領域
巻頭綜説
肺循環研究の進歩—この10年間を顧みて
斎藤 十六
1
,
渡辺 昌平
1
1千葉大学医学部第2内科
pp.3-13
発行日 1963年1月15日
Published Date 1963/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201168
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はじめに
肺循環の研究において,心カテーテル法をはじめとする,新しい研究方法が登場するまで,この分野は,医学における"ruhendes"Kapital1)(Halmagi 1956)といつてさしつかえなかつた。それまで,間接的手技によつてのみ行なわれていた肺循環の研究,とくに,ヒトにおける病態生理の研究に,大きな改変が行なわれた。そして,現在では,心カテーテル法は,日常,ふつうに行なわれる心・肺機能検査の1つになつた。
わが国でも,昭和25年,小林太刀夫教授,その他の研究者により,この方法が,臨床医学にとり入れられ,日・循総会の宿題として,肺循環が行なわれた。I.昭和29年,三瀬教授2)は「いわゆる肺毛細管圧を中心に」,笹本助教授3)は「とくに気相,および,血液相の関連について」,上田教授4)は「肺循環の病態生理全汎にわたり」,城博士5)は「肺結核における肺循環」,貫教授6)は「とくに薬理学的立場から」,II,昭和30年,長石教授7)は「静脈性混合について」,村尾(誠)助教授8)は「慢性肺気腫」の,教室の渡辺(昌)9)は「とくに,肺うつ血,および,肺水腫」,中村隆教授10)は「珪肺症」の肺循環について述べた。
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