Japanese
English
診療指針
呼吸性アシドーシスの管理—とくにCO2中毒症候群の治療を中心として
Management of Respiratory Acidosis.
笹本 浩
1
,
横山 哲朗
1
,
岡崎 敬得
1
,
鈴木 清
1
,
高木 康
1
,
田村 文彦
1
Hiroshi Sasamoto
1
1慶応大学医学部内科学教室
1Dept.of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University.
pp.467-475
発行日 1962年7月15日
Published Date 1962/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201110
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I.はじめに
呼吸器疾患の研究に肺生理学の方法が導入され,肺の機能およびその病態に関する知見が増加するにしたがつて,呼吸器疾患の診療においても肺機能障害の評価と治療とに関する正しい認識を持つことが臨床家の重要な課題として要求されるようになつた。とくに肺機能障害の綜合的な結果としてもたらされる血液ガスの異常は,生体の内部環境の恒常性を破壊し,ついには患者の生命を直接おびやかすに至るので,その臨床的意義は極めて重大であり,われわれはこれに正しく対処しなければならない。
肺機能障害にもとづく血液ガスの異常は,動脈血O2分圧の低下(anoxic anoxemia)と動脈血CO2分圧の上昇(hypercapniaまたは呼吸性アシドーシス)であるが,anxemiaの臨床的意義に関しては古くから比較的よく認識されており,またその対策にも多くの関心がもたれてきた。しかるに一方呼吸性アシドーシスに関してはなお一般にその臨床的意義が知られておらず,多くの場合看過され,また正しい対策がとられないために不幸の転帰をとる例が少なくないと想像される。
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