巻頭言
心臓腔X線造影の4半世紀
玉木 正男
1
1長崎大学医学部 放射線科教室
pp.139-140
発行日 1962年3月15日
Published Date 1962/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201070
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ヨード含有造影剤の水溶液を静注して右心腔経由で肺血管を造影した報告はすでに1920年代からみられるが,人生体心臓について各房室の造影を始めて報告したのはキューバのハバナ大学Caste—llanos一派とニューヨークのSteinberg,Robb両氏とである。
すなわちCastellanosは1937年の秋にAngio—cardiografia radio-opacaという題目でスペイン語の報告を発表しているが,氏のfull-nameがAugustin Castellanos-Gonzalez であることからみても自分こそACGの元祖であると先年キューバを訪ねた筆者にユーモラスに語つていた。ただし氏はこれを小児に実施し,しかも,創始当時は右心腔とチアノーゼ型心奇型での大動脈の造影像を記載しているのみである。小児のみならず成人の各種疾患についてしかも右心腔はもちろん左心房,左心室,大動脈までの造影を始めて報告したのはSteinberg,Robb両氏(1938年)であるが,Castellanosのグループの用いた35%Urose—lectan B 35%Perabrodilにくらべてはるかに高濃度(70%)のDiodrast(Perabrodilと同じ物質)を始めて入手でき,これを急速に静注したことが成功のかぎであつたと思われる。
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