特集 公衆衛生50年の回顧と展望
統計を楽しんだ半世紀
額田 粲
1
Akira NUKADA
1
1東邦大学医学部
pp.58-60
発行日 1986年1月15日
Published Date 1986/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207197
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■統計の手ほどき
統計の手ほどきを受けたのは旧制高校(府立高校—東京都立大学の前身)の三年生の一学期の,植物学実験と二学期の物理学実験であった,特に印象の深かったのは植物学の遺伝の実験で,朝顔の種子をめいめい十粒ずつ,木箱の土の上にまき,次の実験日に発芽した葉の状態を調べると,各々の木箱では相当のチラバリがあったが,級全体では誰の目にもいわゆるメンデルの古典的法則が成立していることが納得できた.
恐らく今なら中学校でも行われているかも知れないが,今から53年前の昭和7年の旧制高校生達は,遺伝学という面白い学問があることを知った.しかしその後遺症として,期待値とか実験値などの用語やx2値という難しい言葉にその後今日まで悩まされることになった.
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