連載 あのころ あのとき40
CLとともに歩んだ半世紀(2)
平野 潤三
1
1平野眼科病院
pp.675-677
発行日 2004年5月15日
Published Date 2004/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100549
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1952年,名大でCLの誕生に立ち会って以来今日まで50余年,私はその健全な成長発育を願い,CLの改良,開発,および副作用の原因究明と対策に努めてきた。その間に幾度か忘れ難い「あのころ・あのとき」があった。
血管新生機構の解明
CLの副作用に角膜の血管侵入がある。特にSCL装用者に多い。すでに私は1958年CLの角膜障害は酸素欠乏(anoxia)によることを実証したので,血管新生もまた同じ病因と考えた。一方,戦前はその主要原因はトラコーマ(Tr)で,国民眼病といわれたTrも戦後には減少し絶滅したが,1950年代にはまだ残党がかなりいて,名古屋のスラム街,王子町にはTr診療所があり,私はそこでTr後遺症をイヤというほどみた。結膜瘢痕,瞼球癒着,角膜乾燥,血管侵入(pannus),睫毛乱生で,失明かそれに近い老人が多かった。
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.