増大号特集 精神科クリニカル・パール—先達に学ぶ
第7章 不安症・強迫症・身体症状症診療の先達
神経症診療半世紀
高橋 徹
1
1国土交通省本省診療所
キーワード:
不安神経症
,
anxiety neurosis
,
移精変気
,
mind reorganization
,
医学史
,
medical history
Keyword:
不安神経症
,
anxiety neurosis
,
移精変気
,
mind reorganization
,
医学史
,
medical history
pp.750-756
発行日 2021年5月15日
Published Date 2021/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206358
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
clinical pearl
・治せなくても自らを慰めることはできる。しかし,一生勉強しなければならない(斎藤十六:卒業生への贐の言葉)。
・人は七情の働きに由って病気になる場合が最も多い。従って世の中には心気病(江戸時代の神経症)を患う人々が多いのであるから,まず心気病であるか否かを診断し,心気病であれば移精変気の方法を行う(今泉玄祐:療治夜話)。
・生体の不思議さは部分が良くなると全体が改善するということがしばしば起こることである。生体は破壊や損傷が進行すると同時に,修復に向かう性質も持っている。精神障害に対する薬物の作用はまさに「部分」に働きかけて回復に向かわせる契機となるものであろう。部分というのが不適切であるなら,作用点と言い換えてもよい(市橋秀夫:処方の哲学)。
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.