われわれの研究室
九大医学部附属心臓血管研究所
森 博愛
pp.365
発行日 1961年5月15日
Published Date 1961/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200986
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九大医学部心臓血管研究所は国立大学におけるこの方面の研究施設としては最初のものである。本態性高血圧症,動脈硬化症その他の心臓血管系統の病気が悪性新生物と共に国民衛生の中心課題として注目されるに至つた事が,本研究施設が設置された社会的背景であるが,その設置場所として九大が選ばれた事は故なき事ではない。病理方面に於ては田原淳教授の刺戟伝導系統に関する世界的な業績があり,臨床循環器方面は呉建教授により開拓され,金子,操,山岡教授と受け継がれた輝かしい伝統があり,その業績は内科学会,循環器学会に於ける幾多の宿題報告,シンポジウムとして結実している。
この様な社会的背景及び学問的環境のもとに設立された本研究所は洋々たる将来が期待される。昭和33年4月1日設置認可になつてから日尚浅いが設備及びスタッフの充実は着々と進んでいる。人員構成としては施設長・天児民和(九大医学部長),教授・山岡憲二(第1内科教授兼任),助教授・森博愛,講師・中村元臣,助手・大宅善衛,中谷己佐子の他に九大医学部の基礎及び臨床にわたる循環器の権威者14教授が兼任所員として研究室の運営指導に関与している。その他に他教室からの大学院学生又は研究生で当研究所で研究に従事しているものは13名である。
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