病院長プロフイル・55
九大附属病院長 三宅博氏
pp.448
発行日 1958年5月1日
Published Date 1958/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201366
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日本病院学会が開催せられて早くも今年で第8回目に当る。今年始めて海を渡つて九州で開催せられるのであるが先生に学会長を引き受けて貰つた。最近先生は実に30年振りとも云うべき日本外科学会の福岡開催の学会長として無事勤められ見事な成果を収められた事は私共の記憶にまだ新しい事である。九大第一外科主任教授であり,その徳望と手腕を買われて附属病院長に推され,県病院協会のためにも多忙な日課をさいて会長として病院管理の問題に就いて熱心に豊富な経験により御指導頂いている。図書に埋つた教授室に先生を訪れる誰でもが,まつ正直な,いんぎんその侭の物腰の柔かな態度の先生には一驚することである。医学部の教授でも特に九大の外科と云えば,いかめしいと云う観念が通例であつたが,先生は温和,且つ話す度にほんとうに誠心誠意の人であるとの感が深まつて来る方である。医局員の数が多過ぎて名前も覚えられませんよと云う入局者の殺到した為の先生の嬉しい悲鳴も又宜なる哉である。医局員の数は九大随一。
先生は徳島県の出身,佐高を経て九大医学部昭和2年卒業。第一外科の講師,助教授を経て昭和9年文部省から選ばれて外科学研究の為2年間のドイツ留学をされたが,朴訥な人柄だけにいろいろ野人振りを発揮されて面白いエピソードもある様である。昭和16年長崎医大教授,更に岡山医大教授に転ぜられ,この間教授として真しな研究的態度,高まいな人格で各地で三宅外科の名声を博された。
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