講座 図解病態のしくみ 循環器疾患・18
解離性大動脈瘤
飯田 要
1
,
小関 迪
2
1筑波大学臨床医学系・内科
2筑波記念病院・内科
pp.2452-2457
発行日 1989年11月10日
Published Date 1989/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222958
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概念
解離性大動脈瘤は大動脈壁がなんらかの原因によって解離し,その結果大動脈壁の裂開を生じたものであるが,病因は不明である.突然の胸痛で発症し,高血圧症の関与によることが最も多い.その予後は解離発生の部位によっては非常に悪く,とくに発症後2週間以内の急性期の死亡率がきわめて高い.また急性期を脱しても解離腔の拡大,破裂をきたしやすく,したがって迅速に診断し治療方針を決めることが要求される.現在,解離腔の部位によりDeBakeyの分類やStanfordの分類が用いられており,予後の判定に利用されている.
本症は近年増加傾向にあるが,その診断方法も進歩し,血管外科手術の発達もめざましいため,急性期の生存率も上昇してきている.また外科的療法をfirst choiseと考えがちであるが,本症に伴う高血圧のコントロールに対し薬物療法も重要視され,DeBakey III型では薬物療法のみで経過を診ていることも多い.
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