Japanese
English
綜説
臨床におけるStarlingの法則
The Clinical Application of Starling's Law.
渡辺 昌平
1
,
稲垣 義明
1
,
木下 安弘
1
,
三橋 駿一
1
Shohei Watanabe
1
,
Yoshiaki Inagaki
1
,
Yasuhiro Kinoshita
1
,
Shunichi Mitsuhashi
1
1千葉大学第二内科
1The 2nd Clinic of Internal Medicine, Chiba University, School of Medicine
pp.75-83
発行日 1961年2月15日
Published Date 1961/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200952
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I.梗概
E. H. Starling19)20),および,Starling-Vis—Scher24)の心肺標本における実験は,生理学方面ばかりでなく,臨床学方面,とくに,心不全にかんする機械力学的な機序の考えかたに大きな貢献をした。最近,Sarnoff22)23)および,その協研者たちは多くの知見を補遺した。この小文では,まず,それらの梗概を述べ,つぎに,臨床面における実例をもつて説明する。
管中を流れる液体量は,両端の圧差と,半径の4乗に比例して,変化する。それゆえ,血行力学的に考えると,弛期に心室へ流れこむ血量は,流入路の口径,上流部の圧,ならびに,心室の弛期圧に左右される。心室が完全に空虚になると,それが末梢抵抗の減りにもとつくにせよ,心室収縮力の増大によるにせよ,心室弛期圧はさがり,流入量は増し,結果として,拍出量はふえる。逆に,心室の空虚が不完全なら,流入・流出量は,ともに,減る傾向となる。
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