Japanese
English
原著
肺動脈—奇靜脈吻合の研究—肺動脈圧亢進症(肺高血圧症)に対する一外科的対策として
Anastomosis of A. Pulm-V. Azygos:As a surgical treatment for pulmonaly hypertension.
松井 澄
1
,
中野 昭
1
,
渡辺 淳
1
,
桂 敦子
1
,
細田 哲司
1
,
長谷川 淵
1
,
浦上 正躬
2
,
亀山 容
2
,
小島 靖
2
,
和田 達雄
2
K. Matsui
1
,
A. Nakano
1
,
K. Watanabe
1
,
A. Katsura
1
,
T. Hosoda
1
,
F. Hasegawa
1
,
M. Urakami
2
,
H. Kameyama
2
,
Y. Kozima
2
,
T. Wada
2
1国立中野療養所
2東京大学木本外科
1National Nakano Sanatorium
2IInd Surgical Department of Tokyo University Hospital
pp.1055-10650
発行日 1959年11月15日
Published Date 1959/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200835
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I.緒言
肺循環については現在なお未解決の問題も多いが,肺動脈圧亢進には機械的な肺血管床の減少の外Anoxia,Hypercapniaによる肺血流量の増加や肺血管収縮など多くの原因が挙げられており肺性心の発生機構に関し種々の議論がなされている1)−9)。併し肺外科に於て最近注目されている晩期肺性心の発生10)−12)は肺血管床の絶対量不足を主因と考えてよいであろう。この場合は新たに肺組織を附加する以外には根本的な対策はないといつてよく,この様な危険の予想される症例は手術対象から除外す可きである。併し今日心肺機能低下例,とくに重症肺結核を取扱う際には従来の安全限界の線13)以内に止つていることは無理である。我々は切除後の換気不全を未然に防ぎ,術後残存肺の再膨脹を促進させて多少なりとも安全限界を従来より低い線まで下げようと努力して来たが14)−15),今回肺切除後の慢性肺性心の発生を予防する一手段として肺動脈—奇静脈吻合法を創案し実験的検討を行つた。
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