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門脈圧亢進症の治療,特にBanti氏症状群に対する門脈系大靜脈系吻合術の再檢討
木本 誠二
1
,
杉江 三郞
1
,
三枝 正裕
1
,
勅使河原 正雄
1
,
腰塚 浩
1
,
宮尾 淳平
1
,
鍵谷 德男
1
,
小谷 彥藏
1
,
松井 澄
1
,
馬場 甫
1
,
杉浦 光雄
1
Seiji KIMOTO
1
,
Saburô SUGIE
1
,
Masahiro SAIGUSA
1
,
Masao TESHIGAWARA
1
,
Hiroshi KOSHIZUKA
1
,
Junpei MIYAO
1
,
Norio KAGITANI
1
,
Hikozô KOTANI
1
,
Kiyoshi MATSUI
1
,
Hajime BABA
1
,
Mitsuo SUGIURA
1
1東京大学木本外科教室
1Clinical Evaluations on the Treatment of Portal Hypertension, Especially on the Portacaval Shunt for Banti's Syndrome.
pp.501-518
発行日 1953年9月20日
Published Date 1953/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201305
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序言
門脈圧亢進症の問題を吾々がとり上げて研究に着手したのは昭和24年であつた.当時はまだBlakemore氏等やLinton氏等が門脈系大靜脈系吻合手術を始めて間もない頃で,その理論的根拠も必ずしも不動に確立されたものではなかつたのであるが,吾國としてもそうした方面から観た考え方並びに治療法を更に深く掘下げつゝ進めて行く價値は充分にあるとの判断から,吾々は一方では実驗的にまだ充分明らかでない理論的檢索を進めると同時に,他方臨床的にも愼重に実施して,外國のその後の動靜を絶えず注視しつゝ批判的立場を捨てることなく吾々としての研究を推進して来た積りである.その間吾々が肝機能を主体に始めて試みた門脈動脈化手術の構想も輪廓が次第にはつきりして門脈圧亢進の治療に合流しつゝある.こうした門脈外科に関する吾々の成績は日本外科学会総会における一般演説並びに宿題報告1)2)その他で逐次発表し,特に門脈大靜脈吻合術の各術式については誌上3)4)にも吾々の決定的結論に達し得ない困難な点を含めて当時としての考えを記述した.この問題はその後の経驗によつても色々むづかしい点があり,今もつて解決し得ない疑問もあり,又以前の考えに半ば反省を要する点もあるようであつて,本年の外科学会総会で言及した所を含めて現在としての吾々の立場を記述し,この方面の先輩各位の御批判を仰ぎ度いと思う.
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